ひさびさに“新しいタイプ”の本に出会った、そんな感想の一冊です。『つかう本』……あちこちで大活躍中の“ブック・ディレクター”幅 允孝さんが監修した、いわば本の本。
本屋さんにはじまり、カフェやホテル、空港、さまざまな場所に最適な本棚をつくるのが幅さんの仕事です。そして、ある病院では、脳卒中からのリハビリのための本棚をつくることを依頼され(いうまでもなく前代未聞のお仕事ですよね)、その効果がてきめんだったとか。このエピソードは、以前テレビで放送された際に見かけて“ほほう”とうなっていたのですが、その本棚に収められた本をダイジェストにしてまとめた本が、この一冊。そして、なんと、わがクロニクル・ブックスからも代表選手が選ばれていたのでした!
『フェイス・フェイス・フェイス!』は、小さくて、ぶ厚くて、くすっと笑える写真が満載の自慢の一冊ですが、こんなところで世間のお役に立てていたとは、うれしい限り。コンセントや、キャビネット、じっと見ていたら顔に見えてくる……笑ってる? それとも? こうしたビジュアルで、頭を解きほぐすことができそうな本をはじめとして、過去への記憶を呼び起こすきっかけとなりそうな本、言葉の奥深さを教えてくれそうな本、あくことなく眺められるようなビジュアルを集めた本、収録されている本のどれもが、ただ読むだけではなく、本を“つかう”ことで、リハビリテーションとなる、そうでなくても、なにか新しいことをはじめられそうな……そんな本の集積です。
ああ、あれも手に取ってみたい、これも読みたいと、本好きなら、どきどきしてしまう本のオンパレード(しかも、けっこうレアな本が混じっているところが、プロの仕事です!)。ぜひ、ご一読をおすすめします。
世話人T
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